Reviewレビュー
お嬢様のクローン体になった男の話、要点まとめ
- お嬢様に愛でられる「クローン体」になった男を描くTS女体化マンガ
- メス堕ち・快楽堕ち・フタナリが揃ったSankaku路線の好みが分かれる一本
- 本文34P・770円。お気に入り登録68人と系列人気を示す数値
770円・本文34Pというライトなボリュームで読める同人マンガ。いわした書店の看板とも言える「TS女体化×快楽堕ち」を、皮肉な設定で描いた作品だ。
いわした書店はTS女体化・メス堕ちものの同人サークル。本作はその系譜に連なる一本。
「自分のクローンに愛される」という狂った設定が刺さる人
あらすじを整理する。研究室で働くたきとは、出資者である令嬢の依頼で彼女のクローンを作る。しかし脳の再現はできず、出来上がったのは空っぽの体。
その解決策として、別の人間の脳を転送する手段を提示したたきとは、転送先として自分を指名される。立場上、逆らえない。
つまり「お嬢様の姿をした、男の心のままのクローン体」。これを男性向けエンタメ以外で見られることがまずない。
刺さるのは、ナルシストという狂気を「愛」という形に昇華したい人。お嬢様の視線とクローン体の快感、二方向からの漂流感が旨い。
たきとはとお嬢様、二面の視点で描く見どころ
男の心が入った自分を愛でるお嬢様の歪んだ悦び
男の心を担いながらお嬢様の前で自慰を強いられるたきとは。しかし見ているお嬢様の表情は、他人の顔の自我の揺らぎに悦に浸るもの。ナルシストという設定が、行為そのものを背徳的な儀式に変えている。
男のそれと懸け離れた快感に、まんざらでもなくなる感覚
見どころは快楽の記述の正確さ。男の快感と懸け離れた女体の反応に、たきとは最初は戸惑いながらも、まんざらではなくなっていく。
慣れるのではなく、迎合していく過程。快楽堕ちものとしての土台を、34Pの中でしっかり積んでいる。
フタナリ・処女喪失というTSの「あるある」の正攻法
フタナリ・処女・初体験。このジャンルで外せない要素が、本編内に抑えめに置かれている。要素の詰め込みでなく、設定に必然を持たせた配置が個人的に好印象。
個人的に語りたい、クローン体たきとはの書き味と惜しい点
正直、この設定がどうでたらめか、そしてどう有效か。自己愛の極致が「自分の複製に愛すること」でしかないというお嬢様の狂気が、タイトルの「自己愛の楽園」を言い得て妙にしている。
たきとはの心境の変化、特に拒絶から受容へのグラデーションが早い段階で済まされる点は惜しい。一つの感情の推移に、もう1〜2ページ欲しかった。
良い点
- ナルシスト×クローンという前例の少ない設定
- TS・メス堕ち・フタナリの要素配置が美しい
- 770円で読み捨てのけっしてない濃度
惜しい点
- 34Pでは、心の変化の描写が若干駆け足
26本という販売数に対してお気に入り68人。買った人が買い続けたくなるサークルであることを示す比率だ。
設定の狂気に興味があるなら、ここから先は本編で確認してほしい。
メス堕ちとTSモノの好きな人に、迷わずすすめたい
- TS女体化ものの「受けの快感」を丁寧に描いてほしい人
- ナルシスト・お嬢様キャラの歪んだ愛が好きな人
- 快楽堕ち・メス堕ちの定番フォーマットをしっかり味わいたい人
- フタナリ要素を強烈に押し付けてこない、控えめな扱いを好む人
- 設定の妙味で34Pを満喫したい、ボリュームは重視しない人
要素は揃っているが、1つ1つの描写はあくまで「設定に奉仕する」程度。要素そのものの描写量を期待すると、若干の物足りなさが残る。
自己愛の果てにクローンを作らせるお嬢様と、その器を担わされる男。この二面の視点の交錯こそが、本作の唯一無二の味。
770円で、この「歪んだ構造」に足を踏み入れられる。
ジャンルの好みが合うなら、買って損はないはずだ。
公開 2026.11.08















